【生命保険の健全性】
2008年12月付の情報をお伝えします。アメリカの金融不安を受け、国内の生命保険も大きな荒波にゆれている状況となっています。生命保険大手9社の株式や債券の含み益は半年で3兆円近くも減ってしまったそうです。
日本だけでなく世界的な不況となった現状、AIGの破綻など生命保険会社も決して安心できな状況となっています。それでは本当に日本の生命保険業界の経営状態は不安定なのでしょうか?その辺りを検証していきたいと思います。
【大手9社のソルベンシーマージン比率】
9月末 | 3月末比 | |
---|---|---|
日本生命 | 1,127.3 | ▲29.5 |
第一生命 | 926.6 | ▲84.0 |
明治安田生命 | 1,267.8 | ▲46.3 |
住友生命 | 996.0 | ▲34.7 |
太陽生命 | 881.5 | ▲119.1 |
大同生命 | 972.9 | ▲123.4 |
富国生命 | 1,078.5 | ▲68.4 |
三井生命 | 637.9 | ▲58.2 |
朝日生命 | 643.8 | ▲30.3 |
2008/12/05 日経新聞より
上記に大手9社のソルベンシーマージン比率を記載しましたが、この比率は200%を下回ると『危険水域』とみなされ、金融庁から業務改善命令がおりるのですが、現状は全社とも問題無い状況に見えます。
ですが、3月末の時点では大手9社のうち、7社のソルベンシーマージン比率が1,000%を超えていました。しかも、先日経営破たんした大和(やまと)生命のソルベンシーマージン比率は500%を超えていました。そのため、生命保険各社とも安全圏とはいえない状況となっているのは間違いないのかもしれません。
ですが、1,000%を超えている明治安田生命の松尾社長が「財務の健全性にいささかの揺るぎも無い」と仰られている通り、この数値をみれば安直に不安を抱く事もないのかもしれません。しかも、大和(やまと)生命の破綻を受け、ソルベンシーマージン比率600%台の生保会社は相次いで資本増強の方針を発表し、財務の健全性を測ろうと必死になっています。この状況から日本の生保大手9社の破綻とい事態は、今のところ考え難いとは思いますが、引き続き注視は必要だと思います。